卓球においてラバーは最も大事な用具の1つです。
なぜなら、ラバーの種類によって回転量やスピードなどの性能が大きく変わるためです。
強い回転をかけることができるラバーはいくつかありますが、特に人気のあるラバーがキョウヒョウNEO3です。
・キョウヒョウNEO3の性能を詳しく知りたい
このような疑問を持つ方も多いかと思います。
そこで本記事では、人気ラバーであるキョウヒョウNEO3のレビューを詳しく書いていきます。
なお、キョウヒョウNEO3はいくつかランクに分かれていますが、今回レビューするのは、省チーム用ブルースポンジ(省狂)となります。
詳しいランク分けについては、記事の後半で詳しく解説しています。
卓球歴20年、高弾性ラバー、ハイテンションラバー、粘着ラバーなど、色々なラバーを使ってきた経験を元にレビューしていきます!
目次
キョウヒョウNEO3ブルースポンジ(省狂)レビュー
まず、各技術でのレビューを詳しく書いていきます。
なお、以下のラケット、ラバーの組み合わせとなっています。
■ラケット:
カーボネード 45
■ラバー:
キョウヒョウNEO3 省チーム用 ブルースポンジ
ディグニクス80
フォア打ち、軽打
フォア打ち、軽打であっても、軽く力を入れてボールを飛ばしてあげる必要があります。
ハイテンションラバーのような、当てるだけで勝手に飛んでいく、という飛び方はしません。
ドライブ
薄く擦って回転をかけるような打ち方でドライブすると、回転だけでなくスピードもちゃんと出ます。
一方、厚く当ててドライブするとスピードが出ませんでした。おそらくスイングスピードが足りていないので、中途半端に食い込んだドライブになったためと思われます。
また、全体的にボールが浅くなるので、オーバーミスしにくいです。
しかし、カウンターされやすくなってしまうので、深いボールも打てるように慣れていく必要があると感じます。
ブロック
当てるだけのブロックでも、
・ナックル気味になったり
・バウンド後に沈んだり
・バウンド後に伸びたり
微妙に変化するようなボールが返ります。
しかし、ループドライブのように回転がかかったボールは、回転の影響を強く受けるためブロックが難しかったです。
ツッツキ
下回転を切ったツッツキが、非常にやりやすいです。
また、インパクトを強めにしてもオーバーミスしにくいため、コート深くに刺さるようなツッツキとなります。
ストップ
非常にやりやすいです。
ボールが飛んでいかないので、台上で2バウンドに収めやすく感じます。
フリック
弾くようなフォアフリックは安定します。
強くインパクトしてもオーバーミスしないので、かなり安心感があります。
チキータに関しては相手の回転の影響を強く受けるので、少しやりにくさを感じました。
カウンター
ボールの威力に合わせて打つようなカウンターは非常にやりやすいです。
一方で、ループドライブに対するカウンターは回転の影響を強く受けるので難しく感じました。
スマッシュ
スピードは遅いですがスマッシュはやりやすいです。
また、相手が卓球台の近くでプレーする相手であれば、充分に決まるスピードが出ます。
しかし、カットマンやロビングが上手な選手相手だと、スピードで打ち抜くことは難しいです。
キョウヒョウNEO3ブルースポンジ(省狂)のデメリット
キョウヒョウNEO3を使って感じた主なデメリットは3つです。
・スピード、飛距離が出ない
・回転の影響を受けやすい
・崩れた体勢で打ったボールはカウンターされやすい
スピード、飛距離が出ない
粘着ラバー全般に当てはまることですが、キョウヒョウNEO3も同様でスピード、飛距離が出ません。
ラリー中にノータッチで打ち抜いたり、後ろに下がってプレーすることは難しいラバーです。
個人的に苦労したのは、ロビング、カットを打ち抜けないことです。もしカットマンと対戦する時は、打ち抜く以外の方法を戦略がほしいですね。
とは言え、浮いたチャンスボールや狙っていたボールを打つのであれば、しっかりとスピードは出ます。
卓球台に近いエリアでプレーする人にとっては、そこまで気にしなくてもよいのではないかと思います。
回転の影響を受けやすい
キョウヒョウNEO3は粘着性が強いため、ボールがラバーとしっかり接触し回転の影響を受けやすいです。
回転の影響を受けやすいため、以下の技術が難しく感じました。
✕ ループドライブに対するブロック
強い前進回転の影響を受け、ブロックがオーバーミスしやすい
✕ 下回転に対する速いドライブ
下回転の影響を受け、ネットミスしやすい
一方、回転を利用する以下の技術では相手が取りにくいボールを打つことができました。
◎ 下回転、横回転に対するツッツキ、流し
◎ ドライブに対するカウンター
崩れた体勢で打ったボールはカウンターされやすい
キョウヒョウNEO3は硬いラバーであるため、充分なスイングスピードで打球しないとスピード、回転量ともに弱くなってしまいます。
テナジーのような日本製ハイテンションラバーであれば、スイングスピードを出せなくてもラバーの性能によってある程度のスピード、回転量が出るので、カウンターはされにくいです。
しかし、逆に言えば充分なスイングスピードで打球できた時は、ハイテンションラバー以上の回転をかけることができます。
キョウヒョウNEO3ブルースポンジ(省狂)のメリット
キョウヒョウNEO3を使って感じたメリットは以下の3つです。
・強烈な回転をかけることが可能
・クセ球を打つことができる
・台上技術がやりやすい
強烈な回転をかけることが可能
薄く擦って回転をかけることで強烈な回転をかけることが可能です。
回転をかける事で得られる主なメリットは、以下の2点です。
・ピッチが速いラリーやドライブの打ち合いをしなくても点数が取れる
・ボールが安定する
特に回転をかけやすいと感じた技術は以下の3つです。
◎ 下回転に対するループドライブ
◎ ツッツキ、ストップ
◎ サーブ
地区(市町村)レベルの大会では、
「強い下回転サーブを出し、ツッツキを安定したループドライブで狙う」というシンプルな戦術だけで点数を重ねることが可能です。
またループドライブは、回転量だけでなくボールの高さを調整しやすい点もポイントと感じました。
なぜなら、強い回転をかけたとしても、ボールが高ければチャンスボールとなってしまうからです。
キョウヒョウNEO3は、ネットギリギリの高さのループドライブも打ちやすいため、カウンターされにくいです。
クセ球を打つことができる
クセ球とは回転や軌道が不規則なボールのことで、返球が難しいため相手のミスを誘うことができます。
なぜクセ球を打つことが出来るかと言うと、粘着性が強いキョウヒョウNEO3は回転の影響を受けやすいためです。
粘着性が強いキョウヒョウNEO3は、相手の打ったボールの回転を利用して返球します。
そのため、同じような打ち方をしているはずなのに回転量が微妙に変化したり、バウンド後に沈んだり、といったボールになります。
普段の練習では、ボールが一定ではないので練習相手に嫌な顔をされたりするので微妙な気持ちになるかもしれません。
しかし、実際の大会に出ると初対戦の相手を苦戦させたり、緊張する場面で相手の凡ミスを誘うことができるので、とても強力な武器となります。
練習相手としては嫌がられたりもしますが(実体験)、それが武器なのであまり気にしすぎないようにしましょう!
台上技術がやりやすい
台上技術の中でやりやすいと感じた技術は以下の3つです。
◎ ストップ
◎ 弾くフォアフリック
◎ 深いツッツキ
特に私が良いと感じたことは、緊張した場面でもストップしやすい点です。
ハイテンションラバーの場合、緊張により力んで1バウンドで卓球台から出てしまっていました。
しかし、キョウヒョウNEO3を使ってからは多少力んでも、2バウンドで収まるので安心してストップすることができます。
メンタル的な余裕が生まれるので、9-9などの大事な場面で台上技術のミスをしがちな方におすすめです。
キョウヒョウNEO3ブルースポンジ(省狂)に合うラケット
下記2つの条件を満たすラケットがおすすめです。
・打球感が柔らかい
・弾みが強い
なぜなら、上級者でなくてもキョウヒョウNEO3の性能を最大限引き出すことができるからです。
キョウヒョウNEO3はゴム・スポンジが硬く、スイングスピードを速くしないと威力のあるボールを打つことができません。
しかし、打球感が柔らかく、弾むラケットを組み合わせることで、スイングスピードを出せなくても威力のあるボールを打つことが可能となります。
上記2条件を満たすおすすめラケットは以下の2つです。
キョウヒョウNEO3ブルースポンジ(省狂)に合うラケット①:ビスカリア
メーカー | バタフライ |
タイプ | 攻撃用 |
ラケットの種類 | ・シェーク ・中国式ペン |
グリップの種類 | ・FL ・ST ・中国式ペン |
素材 | 木材5枚合板 + アリレート カーボン2枚 (アウター) |
平均重量 | 86g |
ラケットに使用される木材の中心から外側に特殊素材(アリレートカーボン)を入れており、回転量とスピードをバランス良く両立したラケットです。
一般的にラケットの外側に特殊素材を入れると、弾みが強くなり回転をかけにくくなります。しかし、ビスカリアは特殊素材を入れているにも関わらず、打球感が柔らかく非常に回転がかけやすいです。
そのため、弾みが弱いキョウヒョウNEO3と組み合わせることで、強い回転をかけながらスピードを出すことが可能です。
また、多くのトップ選手も使用しているラケットで、実績もあるラケットです。
キョウヒョウNEO3ブルースポンジ(省狂)に合うラケット②:カーボネード45
ビスカリアと同じく、ラケットの外側に特殊素材が入っていますが、より弾みを抑え回転をかけやすくしたのがカーボネード45です。
ラケット自体がしっかりボールに食い込んでくれるので、打球感が硬い粘着ラバーと組み合わせても使いやすいことが特徴です。
また、ボールが上に上がりやすく、プレー自体も安定します。
女子のトップである孫穎莎選手も使用しているラケットとして有名です。
キョウヒョウNEO3ブルースポンジ(省狂)の重さ
カット後で55gです。
テナジー、ディグニクスと比べると少し重くなっています。
キョウヒョウNEO3ブルースポンジ(省狂)の寿命
私のような中級者の方が使うのであれば、3〜4ヶ月は使えると感じました。
使用期間に応じ、どのようにラバー性能が低下していくのか簡単にまとめると以下の通りです。
1ヶ月経過:
回転量のマックスが8〜9割程度まで低下、スピード、弾みは変わらない
3ヶ月経過:
回転量のマックスが7〜8割程度まで低下、スピード、弾みは若干増加、引っかかりにくくなる
1ヶ月使用で回転量が僅かに低下しますが、練習で使う分にはそこまでストレスを感じずに使えます。
大事な試合前であれば交換しますが、それ以外であれば気にせず使うと思います。
しかし、3ヶ月程度経過した時点で交換が必要だと感じるレベルまで性能の低下を感じました。
低下する性能の中で最も気になったのが”引っ掛かりの悪さ”です。
引っ掛かりが悪いので同じような打ち方をしても、
✕ ボールが滑る
✕ 回転をかける前にボールが飛んでいってオーバーミス
といったミスが増えていくのを感じました。
また、前提として練習量、保存環境によって変わります。
私の場合、以下の条件でキョウヒョウNEO3を使用しています。皆さんの練習量に当てはめ、参考にしてもらえればと思います。
・1回あたりの練習時間:2時間〜3時間
・1週間あたりのの練習回数:4回
・ラバークリーナーは使わない(練習後息を吹きかけてホコリを取るのみ)
・練習以外は粘着保護シート(VICTAS)を貼り付けて保存
キョウヒョウNEO3ブルースポンジ(省狂)の硬さ
テナジー、ディグニクスなどの日本製ハイテンションラバーと比べても、非常に硬いです。
特に冬場に使うとカチカチ過ぎて、ビックリすると思いますよ!
粘着ラバー自体初めて使う方は、37度という非常に柔らかいキョウヒョウNEO3があるので、まずはこちらをおすすめします。
キョウヒョウNEO3 ニッタクと紅双喜の違い
キョウヒョウNEO3は全て中国の紅双喜で製造されており、主に以下3つのクラスに分かれています。
・一般流通用(普狂)
・省チーム用(省狂)
・国チーム用(国狂)
最も性能が低いのが一般流通用、最も性能が高いのが国チーム用となり、その分値段も高くなります。
ニッタクは日本国内の代理店として、一般流通用キョウヒョウneo3のみを販売していると言われています。
キョウヒョウNEO3の見分け方
「ニッタク販売品」「一般流通用」「省チーム用」「国チーム用」の4種類の見分け方は、パッケージの見た目で判別することが出来ます。
具体的に、下記4つのポイントを基準に見分けることが出来ます。
①パッケージの四隅の形状
・日拓販売品 :4角
・一般用 :8角
・省チーム用 :6角
・国チーム用 :4角
②「蓝海绵」の記載有無
一般流通用にブルースポンジはありません。
「蓝海绵」と記載があるものは「省チーム用」もしくは「国チーム用」となります。
③「省、国」の記載有無
④「Nittaku」マークの有無
1つ注意しなければいけない点は、ニッタク販売品と国家チーム用の見た目が酷似していることです。
ニッタク販売品はパッケージ右上に「Nittaku」のロゴが付いていますが、ぱっと見では間違えてしまう可能性があります。
「国家チーム用のキョウヒョウネオ3がめちゃくちゃ安い!!」
とよく確認せずに買ったらニッタク販売品を間違えて買ってしまった、なんてことにならないようにしましょう。
また、キョウヒョウNEO3は以下のようにデザインが違うパッケージが存在していますが、中身は同じラバーとなります。(見分け方は全く同じです)
まとめ
キョウヒョウNEO3は回転性能が優れている分、弾みは弱いです。
そのため、慣れるまで扱いが難しく感じるかもしれません。
しかし、しばらく使って慣れていくうちに魅力が徐々に分かってきます。
私の場合、慣れるまで半年程度は時間を使いました。
もしキョウヒョウNEO3を使い始めたばかりの人で、あまり魅力を感じられていなくても、半年程度は我慢して使い続けてみることをおすすめします。
使っていくうちに少しずつ良さが分かってくるかと思います!
以上、参考になればうれしいです。
ありがとうございました。